中学校1年生に薦めたい本100冊vol.4 7月

はじめての新書本~本から生き方を学ぼう!

いつぞやも書きました。
子どもたちの読書を、
ラノベ小説だけで
終わらせたくありません。
純文学としての小説、
詩、短歌、俳句、随筆、評論、
さまざまなジャンルに
広げさせたいのです。
特に新書本。
これを読みこなせる中学生高校生に
なってほしいと願っています。
そこで岩波ジュニア新書です。
その入り口となるべき8冊として、
人としての生き方に関わる
内容のものの中から、
比較的平易な表現で書かれた
8冊を選びました。

その1:
「道は自分で切りひらく」(広岡勲)

大リーガーたちの挑戦、努力、
そして成功が、
ドラマチックに描かれています。
まさに入門書的一冊。
短い章に区切りながら、
それぞれのテーマのもとに
大リーガーのストーリーを
紹介していきます。
これなら読書経験の浅い野球少年たちも
すんなり入ることができるはずです。

その2:
「夢を跳ぶ」(佐藤真海)

筆者が北京パラリンピックの
代表として選ばれ、
実戦に向けて励んでいく姿までが
書かれています。
19歳で骨肉腫を発症し、
右足膝下を切断。
運動好きの若い女性が片足を失う。
そのショックはさぞかし
大きかったものと推察できます。
しかし、本書でそうした絶望感が
描かれているのはほんの僅かです。
全編を貫いているのは
どこまでも明るく、ポジティブで、
挑戦しようとする
前向きな希望なのです。

その3:
「〈できること〉の見つけ方」
(石田由香理・西村幹子)

筆者は自分の歩んできた道のりを、
「困難を乗り越えた物語」として
紹介しようとはしていません。
一人の大人として、
未熟だった自分を振り返り、
「共に生きること」の大切さに
気づいた過程を、
正直に綴っているのです。

その4:
「21歳男子、
 過疎の山村に住むことにしました」

(水柿大地)

21歳にして、過疎の山村に移り住み
奮闘する筆者。
筆者の決断力に拍手、
筆者の発想力に拍手、
筆者の人間力に拍手、です。
ここに、この本に、
日本の将来の
明るい可能性が記されています。
日本の過疎地域の
再生の可能性が記されています。
日本の若者の
無限の可能性が確かに記されています。

その5:
「なんにもないけどやってみた」
(栗山さやか)

著者の栗山さやかさんは
現在もアフリカでボランティア活動を
継続中ですが、
本書は2011年に出版された、
いわば活動の初期段階での記録です。
タイトル通り医療の知識も
現地の言語知識もない
まったくの「なんにもない」状態で、
自分のできる限りのことを
最大限「やってみた」記録です。

その6:
「やらなきゃゼロ!」(鈴木直道)

著者・鈴木氏は元々は東京都職員。
夕張市に二年間の出向後、
夕張市長選立候補を打診されます。
落選すれば無職、
当選して市長になっても
年収は200万円ダウン。
しかもその時すでに氏は婚約していた!
並みの神経では
立候補を決断などできないでしょう。
まずは読んでいただきたいと思います。
そうでなければこの厳しい状況と
日々対峙している鈴木氏の奮闘ぶりは
理解できないでしょう。

その7:
「理系女子的生き方のススメ」
(美馬のゆり)

女子中学生、女子高生のキミたち、
今のままでいいのか、
女性としての
新しい生き方をしようじゃないか。
そんなこれからの女性への
生き方の提言、
これがリケジョの最前線で活躍している
著者の論旨です。
決して女性科学者を目指せと
言っているのではありません。

その8:
「勇気ってなんだろう」(江川紹子)

昨今、子どもたちの周囲に、
生き方のモデルになるべき大人が
いないということがよく言われます
(私もしっかりしなければと
いつも思うのですが)。
本書を読んだ子どもたちが、
本当の大人の在り方って
こういうことなんだ、と
感じてくれることを願います。

「道は自分で切りひらく」は
中学生の入門書的レベルですが、
それ以外の7冊は大人も読むべき
高い水準にある新書本です。ぜひ、
親子で読んでみてはいかがでしょうか。

(2020.5.29)

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